今日の健康課題である生活習慣病の一つである脂質異常症、これは血清総コレステロール(TC)高値、HDL-コレステロール低値、LDL-コレステロール高値、あるいは血清トリグリセライド(TG)高値の事を指す。脂質異常症は各種の疾患で二次的に生じることもあるのだが、特に一次的な血清脂質異常症の発見に努める事は心筋梗塞・脳梗塞・末梢動脈疾患など動脈硬化による疾病を予防する為に非常に重要なのである。
最近報告された血清脂質の基準範囲では、健常に思える被験者の血清脂質であっても男女・年齢によって差があり、加えて測定方法によってLDL-コレステロール値が多少なりと異なっている点を指摘した。治療の必要性と紐づけて言及出来るようにするには、今後更にこの点に関するフォローアップが必要だといえるだろう。
この検査よりLDL-コレステロール値の結果が軽異常であった場合、保健指導が必要な段階に差し掛かっていると言えるだろう。具体的には、動物性脂肪を控える・植物油や魚介類を多く摂取する・禁煙減量を行うなどが挙げられる。これに併せて高血圧・糖尿病・腎臓病も発病しているようであれば、軽異常の段階で専門医の受診を提案するのも一つ手だといえよう。これらの指導に加え、今までの食事療法歴及びLDL-C測定法も記載すれば更に適切だといえる。LDL-コレステロール・TGの値が高値である、生活改善を行っても高値が持続する、高血圧・糖尿病・腎疾患などの合併症若しくは脳梗塞・心筋梗塞・末梢動脈閉塞等の既往歴があるといった場合には、専門医の受診と適切な治療が必要である。

2021-05-22/血清脂質